みんなニコニコ仲良し家族は、絵に描いた餅かも分かりません
今は亡き父と その実母の関係も「犬猿の仲」と言われていました
普段は無口な父でしたが、私が大人になってからは
しばしば
「お前は長男だから 将来はカマドの灰までお前の物になるんだから」と言われて
弟や妹の祝儀の宴まで負担させられた
と よく不満を漏らしていました
特に、実母である祖母をこころよく思っていなかった感がありました
転勤の辞令が降りたのは 父にとって幸運だったのかも分かりません
当時 まだ母も存命だった私達五人家族は
祖母と離れて 今現在 私の住まう地域に引っ越しました
私がまだ小学生の頃です
そして 数年後、私が高校にあがって間もなく母は他界します
引っ越してからの その数年間、祖母との交流は途絶えていたのですが
母亡き後、何を思ってか 祖母が時々 電車を2時間乗り継ぎ
私達の家にやって来ます
2~3泊して 洗濯や食事作りをしてくれるので
私は嬉しかったのですが 父は表面上の「ありがとう」だけ言っていました
高校のテストの日でした
私は早々と家に帰り「ただいまぁ~!」と自室に入る時
祖母は箪笥の引き出しを開けて 何か捜し物をしていました
その瞬間は 私は何も感じなかったのですが
数分後、祖母がわざわざ私の部屋まで来て
「この紐を探していたんよ」と着物の紐を私に見せた時
大いなる違和感が心の底に残りました
謎が解けるまで何十年経ったでしょうか
末っ子の虎が学生マンションに移り住んだ後
脚も弱り、頭も弱り始めた父の元に、私が毎日通うようになった時
「最近 すっかり物忘れするようになって…」と話し始めたのが
金貨の話しでした
「子供の頃、伯父さんに貰った金貨を大事に肌身離さず いつも背広のポケットに入れていたんだけど
どこに片付けたのか忘れてしまって、探しても見つからない」
私だけが犯人を知っています