今から十五、六年ほど前の話しです
今でもそうですが 長女の豹（仮名）は殊勝な娘でした
末っ子の虎（仮名）が進学の為、学生マンションに引っ越すと
「お母さんが独りになってしまうから」と
毎晩 私の家に泊まりに来る様になりました
夕食は猿夫と長男の為に 向こうで作って 全てを済ませ
夜9時頃に こちらに自転車で走って来るのです
朝は 彼女もパートをしている為 早朝5時には起きて
向こうに戻ります
私は そんな娘（24歳頃）のハードな生活ぶりを 少し心配していましたが
やがて 虎が学校を終える直近には それほどは泊まりに来なくなりました
本当は その頃が一番 母親の眼が必要だったのです
私は「そりゃ 毎晩 泊まりに来るのは しんどかろう
もう 無理しない事に決めたんだな」
と呑気でした
猿夫と離れた自由な家で、末っ子 虎 の世話も手が離れたので
シングル生活の楽しさを満喫していました
そんな呑気な母に反して…
豹は、家事と自分のパート職をこなすうち
次第に不眠に悩まされる様になりました
自分で2～3軒の医院を訪ね 睡眠薬をもらい
毎週 土日に長男のライオン（仮名）と共に
こちらに泊まりに来た折にも 夜 その類の薬を飲んでいました
