貧しさ=苦労=徳 と考えるなら
猿夫も その母親も 苦労を有り難がっていました
姑は 自分達の収入が低いが為に
猿夫に教育をつけられず、小遣いもろくに与えられなかった昔を
可哀相だった と懐古すると同時に
【苦労=善】と考え
「猿夫も、苦労させたワタシら両親に きっと感謝してる」
と言い切っていました
猿夫は猿夫で
「家のお袋は苦労した」と常に口にしていて
私が 休日に朝遅くまで寝ていると
「おい、起きろよ。お袋なんかは夜明けと共に起きて畑仕事していたんだぞ」
と 苦労を強いて来ました
夜、私の普段日の就寝時刻は12時を過ぎていたのですが
猿夫自身は 早く寝るのに
「家のお袋は 毎晩夜なべして仕事していたんだ」
と 不満げな私を戒めました
20年後に 一度 猿夫に確かめた事があります
「子供の頃、夜は何時に寝ていた?」
彼奴は答えました
「8時頃」